ハッピーアワーはレストランやビアホールなどで夕方の混雑時までの時間帯は安く飲めることをいう。
平日の昼間にビアホールへ行った。
仕事をしている人をよそにビールを飲めるとあって、優越感に浸れることも多少なりともハッピーの所以かもしれない。
私はそんな働く人たちに申し訳程度に顔を隠す様に深々とベースボールキャップを被り、スタウトのコクを楽しんだ。
帰宅するなり、小一時間くらいだろうか、ソファの上でうたた寝した。
目を覚ましてしばらく一点を見つめながら、頭に手を当てていた。
ベースボールキャップは?!
酔いは思ったより軽く、私は足早にビアホールへ向かった。
このベースボールキャップは2007年松阪が所属していたレッドソックスがワールドシリーズを勝ち取った記念モデルである。
レッドソックスファンとしては手放したくない一品である。
『ベースボールキャップを置き忘れてしまったのですが、ありますか?』
お店のお姉さんはスタッフルームから忘れ物と書かれた段ボールを持ってきた。
『こちらの赤い帽子ですか。それとも、こちらの白い帽子ですか?』
私のは黒い帽子である。
正直に答えたら全部くれるのだろうか。
いやいや3つも要らんよねぇ。