生誕300年を記念した若冲展が東京都美術館で催されていた。
江戸時代の日本を代表する天才絵師である伊藤若冲が描く動物や植物の絵は、現代アートのようである。
江戸時代の花鳥画や水墨画としては異質と思われるその表現はまるで西洋画のようである。
特に『樹花鳥獣図屏風』はモザイク調の画風で表しており、我々に『若冲は未来を見たことがあるのでは?!』と疑念を持たせてしまうほどである。
ただ、その絵に描かれた象を見つめていた齢50くらいのおばさんはこうつぶやいていた。
『若冲はきっと象をみたことがないのよ。』
確かに若冲は鶏の絵を得意とし、象は苦手としていたのかもしれない。
それにしても、鳳凰の飾りにハートをあしらうあたりは何ともラブリーである。