キタキツネを呼び寄せるために『ルールルル』と言わんば、のこのことキタキツネが現れるのは『北の国から』だけなのだろうか。
何の下調べもなく、キタキツネに会いに富良野へやってきたのだが、一向に会う気配がない。
志半ばにして富良野の市街にもどり、夕食をとることにした。
カウンターでカレーをほう張りながら、キタキツネに会えないことを愚痴り倒した。
ひょっこり現れやしないか期待して時折窓の外へ視線をやる。
しまいには、窓の外に向かって『ルールルル』と思わず呼んだ。
すると、カウンター越しから綺麗な切れ長の目をしたスレンダーな女性が私の食べかけのカレーの器にルーを足してくれた。
彼女はにっこりと笑って言った。
『今、ルールルルって言いましたよね。』
キタキツネよ、化けて出てくれたのかしら。