『婆様はエレベーターで行くからあんたらは階段で行きな』
齢がいくつになれば、自分のことを婆様と呼称するのだろうと考えながら私は階段を上っていた。
齢がいくつになっても他人に婆様扱いされたら、そりゃ気分が悪いだろうが、孫ができたら自ずと婆様としての自覚が芽生えるのだろう。
あしかがフラワーパークのイルミネーションは老若男女、とにかく人であふれかえっていた。
もともとあしかがフラワーパークは藤の花で有名なところであったが、この頃はイルミネーションでもその人気を博しているようである。
日本、いや世界でも有数な藤の花の木は花を咲かせていない姿も見事で大きな幹に空を地上のごと這う枝ぶりは圧巻である。それにイルミネーションで着飾らせるとは何とも贅沢の極みである。