本来まつ毛は外に向かって生えているのだが、まつ毛が内に向かって生えることで、目の表面にまつ毛が触れて、角膜が傷つくことがある。症状としては、目の異物感・流涙・目やにがあったりする。はっきりした原因はわからないが、生まれつき睫毛乱立といわれるようにまつ毛が内に向かって生えることがある。この場合乳幼児に多く見られるが、成長の過程で自然に治ることもある。また、もともと瞼が腫れぼったい人はまつ毛が内に向かって生えやすい傾向にある。この場合、生まれつき瞼が腫れぼったいということもあるが、年齢とともに瞼の皮膚がたるんで腫れぼったくなり、まつ毛が内を向くということもある。治療は、手術で内に向かっているまつげを外に反るようにすることで治すことができる。手術方法は埋没法と切開法がある。前者はまつ毛が外へ反るように糸で留める方法で皮膚を切ることなく行えるので、侵襲が低く、瞼が腫れない利点がある。ただし、目をこすったり、コンタクトレンズの装着を行ったりすることで、糸が3~5年前後で取れてしまい、後戻りすることがある。一方、切開法はまつ毛の辺縁を切開し、創縁を瞼の裏になる軟骨のような板に癒着させることでまつ毛を外に反らす。埋没法のように後戻りの心配はないが、皮膚を切開しているので1週間程度瞼が腫れあがる上、比較的目立たないが傷跡が残る。これらの治療は、眼科でも行うが、形成外科はより整容面を考慮した治療を行える。