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執筆者の写真林院長

お父ちゃん


私が大学の医局に在籍していた頃、年に一度、科別対抗の野球大会が行われていた。父親の雄姿を見せたいのか、よく家族づれで来る先生もいた。 『父ちゃん、頑張れ〜。』 打席に立った私の同僚もその一人で、齢4才の娘から可愛いらしい声援を送られていた。すると、その同僚は娘の方へ振り返り、声援に応えるかと思いきや、 『父ちゃんって呼ぶな!』 と一喝した。当時まだ独り身であった私には、同僚がなぜ父ちゃんと呼ばれるのを嫌ったのかよくわからなかった。ただ、私にはなぜかそのやりとりが非常に微笑ましく羨ましく感じた。 幼少期は母親のことをママと呼んでいたが、思春期を迎える頃からママと呼ぶことに抵抗があり、かといって急に大人びておふくろとは呼べず、『ねぇ』『あのさ』などと呼んでいた時期があった。今思えば、父ちゃん・母ちゃんも少しママ・パパに似た照れ臭さがあったのかもしれない。日本男児はやっぱり父さん・母さんかなぁ。

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