『この川には、それはそれは大きいウナギ、オオウナギという川の主がいる。』
読売巨人軍のロゴが刺繍されたベースボールキャップを深々とかぶったお爺さんは、川を指差し、語った。
『昔、この集落の家々が火災に見舞われた時、川の主がその巨大を揺らし、川を氾濫させて集落の火災を鎮火したという言い伝えがある。それ以来、村人はオオウナギを守り神として崇めている。』
川はとても澄んでいたが、それらしい川の主の姿は見られなかった。
『オオウナギをとって食べようとした人はいないのですか?』
ウナギといえば誰しもが食したい高級食材なだけにいくら守り神と言えど、食したいと思った人はいただろう。
『オオウナギはニホンウナギのように旨くはない。それに、川の主を食ったものには祟りがあるんじゃ。』
『えっ、どんな祟りですか?』
お爺さんは額から滴る汗を首にかけたタオルで拭いながら言った。
『昔、ある集落の男共が、酒に酔って川の主をとって食ってしまった。そうしたら集落の男共はみんな頭が禿げてしまったんじゃ。』
『それは、恐ろしい(笑)。』
思わずほくそ笑んでしまった。すると、お爺さんは、私の緩んだ顔を見るなり、かぶっていたベースボールキャップをとった。
『えっ、お爺さんっ、もしかして・・』
というお話でした。チャンチャン♪
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